A Prophet (2009)    Dir. Jacques Audiard  
まだ日本では公開されていないらしく邦題はわからなかったが、タイトルの意味は「予言者」だ。監督はフランスのジャック・オーディアール。またも不勉強な私は、この監督の映画は初めて見る。かなり話が複雑で理解するのに集中力がいった。最初は戸惑ったが、理解して馴染んで行けば、じわじわと味わいの広がるいい映画だった。
舞台となるフランスのとある刑務所では、コルシカ系とアラブ系のやくざグループが対立している。入所したばかりの主人公のマリクはアラブ系。19歳と若く、読み書きもできないしがないちんぴらだ。彼は、無理矢理コルシカ系チームに引き入れられ、アラブ系チームの邪魔者を殺す使命を言い渡される。そこから、マリクはアラブ人でありながら、コルシカチームの小間使いとして生活を始める。そして、フランス語の読み書きだけでなく、コルシカ語も学び、不思議な立ち位置を利用しながら、のし上がる方法を画策していく。
おもしろいのは、刑務所が完全に隔離された場所でなく、外の世界といい具合につながっており、時には塀の中から事が発信され、外の世界に影響を与えていることだ。現に、マリクは出所前のトレーニングと称して、一日だけの外出も許されたりもする。その一日で、コルシカ親分から頼まれた仕事を済ませてから、ちゃんと刑務所に門限に帰って来たりと、閉鎖感があまりない。マリクが外に出かけたとき、初めてスーツを着て、初めて飛行機にのる様子は可愛くもあり、むしろ刑務所の生活と一日外出を繰り返す中で自らの世界を広げている。それは、本当なら入っていはいけない世界なのだろうが、迷いもなく突っ込んでいく彼の姿は、観客の目には、ある種の成長物語のようにも映り、それがなんだか空恐ろしい映画である。ところで、この映画のラストシーンは、かなり気に入った。「こいつ、周囲を気にしないで一人で歩く事はもうできないんだろうな」と思わせる素晴らしいショットだった。

A Prophet (2009)    Dir. Jacques Audiard 

まだ日本では公開されていないらしく邦題はわからなかったが、タイトルの意味は「予言者」だ。監督はフランスのジャック・オーディアール。またも不勉強な私は、この監督の映画は初めて見る。かなり話が複雑で理解するのに集中力がいった。最初は戸惑ったが、理解して馴染んで行けば、じわじわと味わいの広がるいい映画だった。

舞台となるフランスのとある刑務所では、コルシカ系とアラブ系のやくざグループが対立している。入所したばかりの主人公のマリクはアラブ系。19歳と若く、読み書きもできないしがないちんぴらだ。彼は、無理矢理コルシカ系チームに引き入れられ、アラブ系チームの邪魔者を殺す使命を言い渡される。そこから、マリクはアラブ人でありながら、コルシカチームの小間使いとして生活を始める。そして、フランス語の読み書きだけでなく、コルシカ語も学び、不思議な立ち位置を利用しながら、のし上がる方法を画策していく。

おもしろいのは、刑務所が完全に隔離された場所でなく、外の世界といい具合につながっており、時には塀の中から事が発信され、外の世界に影響を与えていることだ。現に、マリクは出所前のトレーニングと称して、一日だけの外出も許されたりもする。その一日で、コルシカ親分から頼まれた仕事を済ませてから、ちゃんと刑務所に門限に帰って来たりと、閉鎖感があまりない。マリクが外に出かけたとき、初めてスーツを着て、初めて飛行機にのる様子は可愛くもあり、むしろ刑務所の生活と一日外出を繰り返す中で自らの世界を広げている。それは、本当なら入っていはいけない世界なのだろうが、迷いもなく突っ込んでいく彼の姿は、観客の目には、ある種の成長物語のようにも映り、それがなんだか空恐ろしい映画である。ところで、この映画のラストシーンは、かなり気に入った。「こいつ、周囲を気にしないで一人で歩く事はもうできないんだろうな」と思わせる素晴らしいショットだった。