ピーター・グリーナウェイが制作した巨大なメディアインスタレーション「レオナルド・ダ・ヴィンチの最後の晩餐 :A Vision by Peter Greenaway」がPark Avenue Armoryで公開された。まったく彼の映画のファンではないけれど、さすがの映像美は新聞でちら見しただけでも美しくて、ついに足を運ぶことにしてしまった。
観客は、一歩会場に踏み入れると、闇のなかにそびえたつ大きなスクリーンで四方を囲まれる。6つのスクリーンが「最後の晩餐」の絵の一部や、イタリアの建造物、ふんどしダンサーなど、それぞれ異なる映像を映し出して行き、観客は自分の見たいスクリーンを瞬時に選び取って、構築していかなかればならない。みんながきょろきょろしながら、画を探している様子は少し面白い。映像がズームすると、画の中に落ちて行くように、体が引き込まれ、自分が立っていることを忘れてしまう瞬間すらあった。そういえば昔、銀座の映画館で「ハムナプトラ」を前から3列目で集中して見ていると、似たような感覚になったことがあるが、今日は正面のみならず後ろも横も映像が迫り来て、ふらふらするほど平衡感覚を失ってしまった。もし、この6面で小津の映画を見たらどんな気分になるのだろう。
「最後の晩餐」の絵に影をつけて陰影を見せる映像では、絵画が陰影によってあれほど様相をかえるのか、と驚く。我々が知っているのは色褪せたいつもの有名な「最後の晩餐」、ところが天窓から光が射し陰影をつくると、劇的なドラマの1シーンとして蘇えったような美しさだった。あたり前ながら、映画の照明って大事だな、と思ったりして。なかなか現代アートの懐には飛び込んでいけず、とりあえず映画と結びつけてしまう癖がぬけない。
- December 8 2010 | - Read More →


