quickshotfilms/映画を撃て!

Straight To Hell Returns (1987-2011)  Dir. Alex Cox

なんか映画みよっかなーと、なんの気なしに、ウォルターリードシアターの 上映スケジュールを見ていたら、Alex Cox in person (”生”アレックス・コックス)との記述を発見。一昔前「レポマン」を見て、この監督にはまりかけたけど、すぐ飽きてしまった思い出があり、監督の質疑応答もあるせっかくの機会だし再見することに。痩せて長身の監督は、シニカルなジョークを連発していたが、笑顔がとっても愛らしいので好印象だった。観客は、熱狂的ファンの集いという感じでもなく、くだけた雰囲気で、上映後無料ビールとパンクバンドのライブまでついていた。

上映された「ストレート・トゥ・ヘル・リターンズ」ん?“リターンズ”?と思ったが、デジタルで色調調整し、ほんのちょっと再撮されたショットが加えられ、オリジナルより5分長いバージョンになっているそうだ。付け足したというのは、とある脇役の足もとを映した他愛無いカットだったり。監督は「彼がどんな靴を履いていたか判ったほうがいいだろ?実は、その靴がこの映画の要なんだ!なーんてね」と、笑い飛ばしていた。他にも付け足しはいくつかあるが、内容や印象はオリジナルと変わりない…ように思う。オリジナルの記憶が曖昧で申し訳ない。

最初の10分ぐらい、3人の小汚いチンピラとあばずれ女(コートニー・コックスですよ)が、うだうだとののしり合う逃避行の様子を見ていて、タランティーノ信奉者の自主映画を見ているような気分になっていた。そのぐらいタランティーノってアレックス・コックスのテイストをすっかりモノにしてしまった感がある。巧いけどなんかずるい。

あるシーンでは、意外な発見をした。町の野郎どもが宴会中、急にけだるい女が現れ「ダニーボーイ」を歌い始める。その女のヨリから1カットでずっと引いて行くと、野郎ども込みの全体ショットになりダニーボーイの大合唱になるという、わけのわからん素敵なシーンなのだが、これって私が大好きな「パンツの穴 キラキラ星みつけた!」で広田レオナもやっていたではないかあ!!もしかしてある筋では、有名な話かしら?マカロニウエスタンのパロディとして作られた「スト レート・トゥ・ヘル」のセット(超予算のためイタリアではなくスペインで撮影)も、もともとチャールズ・ブロンソンの低予算マカロニウエスタン映画の使い回しだったらしいし(だからドアが全部小さい)、この映画が、他の映画からアイディアをいただいて完成し、そして後に他の映画作家に影響を与え映画史に残り、こうしてまた“リターンズ”として蘇えったという経緯が面白い。映画における引用、そして文字通りの再利用について考えさせられた。

1カット1カットに注ぎ込まれた狂ったユーモアが、この映画の魅力でもあるのだけど、この映画が好きかと聞かれるとやはり私には乗り切れないところ もあり、撮影しているとき、役者はわけわかんなかったんだろうなあ、と思いながら集中できないまま見続けていた。するとコックスが「役者みんなが困惑する中、ちょい役のデニス・ホッパーだけが、この映画のユーモアを理解し、役になりきっていた」と言っていたので、さすがロジャー・コーマンに鍛えられた 男は違う、と感心した。散漫な話これで終わり。

  • March 3 2011 | - Read More →
  • Tags: Alex Cox

ニューヨーク在住8年目。おもしろい映画ってなんなんだろう。いい映画ってどうやってつくるんだろう、と考えるためのブログ。

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