Human Desire (1954)   Dir. Fritz Lang
仕組まれた罠/フリッツ・ラング監督
Beautiful legs of Gloria Grahame! She is saying “Look at my new shoes.”
DVDにて鑑賞。「どう?この靴買ったの」と夫に見せるグロリア・グレアム。少し安っぽく、最高に官能的な彼女の魅力を堪能した。

Human Desire (1954)   Dir. Fritz Lang

仕組まれた罠/フリッツ・ラング監督

Beautiful legs of Gloria Grahame! She is saying “Look at my new shoes.”

DVDにて鑑賞。「どう?この靴買ったの」と夫に見せるグロリア・グレアム。少し安っぽく、最高に官能的な彼女の魅力を堪能した。

On the Bowery (1957)    Dir.Lionel Rogosin
邦題「バワリー25時」
カサヴェテスがこの映画によって映画作りに目覚めた、と聞いてからずっと見たいと思っていた。Film Forumで一週間だけの上映があり見る事が出来た。このタイトルのBowery(バワリー)ストリートは、今もあるマンハッタンのイーストビレッジからロウワーイーストに続く大通り。数年前、Whole Foodsという大型スーパーが出来てから明るくなり、しゃれた店も増えてきている。私も、ついこのあいだもそのバワリーにあるレストランで食事したばかり。そこが、50年も前には、酒ボトルを片手に千鳥足の日雇い労働者のたまり場だったそうで、そんな輩のリアルな姿をカメラに納め、ちょっと小芝居までさせたというのが「On the Bowery」だ。
出ている役者がみんな素人でアル中。主人公のレイだけは、アル中にも関わらず、グレゴリー・ペックの劣化版みたいな雰囲気で割に男前だが、あとの面々は、鼻がつぶれている、足がない、目がいっている、見えない誰かと話している等の本物たちばかりだ。道で寝ている酔っぱらいは、自力で立てずに、気の抜けた起き上がりこぼし人形のように、ゆらゆら体を動かしている。そんなショットの連続で始まる。
監督はイタリアンネオリアリズムの影響をうけたというそれなりの映画論もあるらしい。また、古き良きアメリカの数少ない闇の記録として、こうして現在大きな関心を向けられているが、正直言って映画的な魅力は乏しいように思う。確かに監督は、何ヶ月もこのストリートに通い、酔っぱらいと仲良くなることで、彼らの自然の状態をまんま写し取る事には成功しているが、どうもとってつけた脚本部分が意味がないし、アル中のおっさんらが笑ったり喧嘩したりする姿は、おもしろいことは間違いないけれど、私には、この様子は動画としてでなく、写真で見たほうが想像力がわき、魅力的に思えてしまう。比較的まともな日雇い労働者の主人公が、バワリーにやって来てから、酒に溺れどつぼにはまっていく、というだけのシンプルな筋にも関わらず、時間の流れが今イチつかめず、結局印象に残るのは、名もなきおっさんたちの顔、顔、顔だ。それ以上でもそれ以下でもない。カサヴェテスの「Faces」や「Husbands」に影響が如実に現れているのは明らかだが、そう考えると、カサヴェテスが、このOn the Boweryを元手にいかに素晴らしく映画的想像力を働かせたがわかる。

On the Bowery (1957)    Dir.Lionel Rogosin

邦題「バワリー25時」

カサヴェテスがこの映画によって映画作りに目覚めた、と聞いてからずっと見たいと思っていた。Film Forumで一週間だけの上映があり見る事が出来た。このタイトルのBowery(バワリー)ストリートは、今もあるマンハッタンのイーストビレッジからロウワーイーストに続く大通り。数年前、Whole Foodsという大型スーパーが出来てから明るくなり、しゃれた店も増えてきている。私も、ついこのあいだもそのバワリーにあるレストランで食事したばかり。そこが、50年も前には、酒ボトルを片手に千鳥足の日雇い労働者のたまり場だったそうで、そんな輩のリアルな姿をカメラに納め、ちょっと小芝居までさせたというのが「On the Bowery」だ。

出ている役者がみんな素人でアル中。主人公のレイだけは、アル中にも関わらず、グレゴリー・ペックの劣化版みたいな雰囲気で割に男前だが、あとの面々は、鼻がつぶれている、足がない、目がいっている、見えない誰かと話している等の本物たちばかりだ。道で寝ている酔っぱらいは、自力で立てずに、気の抜けた起き上がりこぼし人形のように、ゆらゆら体を動かしている。そんなショットの連続で始まる。

監督はイタリアンネオリアリズムの影響をうけたというそれなりの映画論もあるらしい。また、古き良きアメリカの数少ない闇の記録として、こうして現在大きな関心を向けられているが、正直言って映画的な魅力は乏しいように思う。確かに監督は、何ヶ月もこのストリートに通い、酔っぱらいと仲良くなることで、彼らの自然の状態をまんま写し取る事には成功しているが、どうもとってつけた脚本部分が意味がないし、アル中のおっさんらが笑ったり喧嘩したりする姿は、おもしろいことは間違いないけれど、私には、この様子は動画としてでなく、写真で見たほうが想像力がわき、魅力的に思えてしまう。比較的まともな日雇い労働者の主人公が、バワリーにやって来てから、酒に溺れどつぼにはまっていく、というだけのシンプルな筋にも関わらず、時間の流れが今イチつかめず、結局印象に残るのは、名もなきおっさんたちの顔、顔、顔だ。それ以上でもそれ以下でもない。カサヴェテスの「Faces」や「Husbands」に影響が如実に現れているのは明らかだが、そう考えると、カサヴェテスが、このOn the Boweryを元手にいかに素晴らしく映画的想像力を働かせたがわかる。

Night and the City  (1950)   Dir. Jules Dassin
邦題「街の野獣」
かつて最強のレスラーと呼ばれたグレゴリウス・ザ・グレートの役を、元レスラーのStanislaus Zbyszko (スタニスラウス・ジビスコ?なんて読むんだあ?)が演じている。ひんまがった唇から吐き出される棒読みでなまり強い英語、熊のような体がひきずりながら歩く様子、演技がうまいとか渋いとかを越えた存在感だ。彼が最期の瞬間を迎えるとき「寒い」といって窓に目をやる。その視線がなんだかわからないがすごい。「心理を的確に説明する演出」以上なんだと思う。「説明のつかない心理を演出」してしまうのがダッシンだ。
DVDの特典映像のダッシンのインタビューで、このレスラー、スタニスラウスについて語っている。実は、もともと用意されたレスラー役の男優がいたが気に入らなかった。描いていたイメージは、子供の頃試合を見たことのあったプロレスラー、スタニスラウスだった。ダッシンは知人の新聞記者に頼んで彼を捜してもらい、なんとニュージャージーで農場を経営していたことをつきとめ、映画出演のオファーにこぎつけた。ダッシンの映画にはいつも素晴らしい役者が揃っているが、そういった熱意が役者に伝わるのだろう。

Night and the City  (1950)   Dir. Jules Dassin

邦題「街の野獣」

かつて最強のレスラーと呼ばれたグレゴリウス・ザ・グレートの役を、元レスラーのStanislaus Zbyszko (スタニスラウス・ジビスコ?なんて読むんだあ?)が演じている。ひんまがった唇から吐き出される棒読みでなまり強い英語、熊のような体がひきずりながら歩く様子、演技がうまいとか渋いとかを越えた存在感だ。彼が最期の瞬間を迎えるとき「寒い」といって窓に目をやる。その視線がなんだかわからないがすごい。「心理を的確に説明する演出」以上なんだと思う。「説明のつかない心理を演出」してしまうのがダッシンだ。

DVDの特典映像のダッシンのインタビューで、このレスラー、スタニスラウスについて語っている。実は、もともと用意されたレスラー役の男優がいたが気に入らなかった。描いていたイメージは、子供の頃試合を見たことのあったプロレスラー、スタニスラウスだった。ダッシンは知人の新聞記者に頼んで彼を捜してもらい、なんとニュージャージーで農場を経営していたことをつきとめ、映画出演のオファーにこぎつけた。ダッシンの映画にはいつも素晴らしい役者が揃っているが、そういった熱意が役者に伝わるのだろう。

「男の争い」ジュールズ・ダッシン本人。役者としても素敵。

「男の争い」ジュールズ・ダッシン本人。役者としても素敵。

Rififi / 男の争い (55)   Dir. Jules Dassin
以前見た「掟」があまりにも素晴らしかったので、同じくダッシン監督の「Rififi/男の争い」をさっそくレンタルした。ああ、こりゃ凄い。頭っからおしりまで、すべてのカット割りを研究したいぐらい。しかも、それをなんでもないようなさり気なさで、こなしてしまうところの渋さ!
台詞なしで30分も続く、宝石強盗の緊張感にはまいった。大きい音で警報機を作動させてしまわないよう、強盗する4人の男たちは、ゆっくり静かに動く。もちろん、ちょっとした音に敏感になる。不意に触れてしまったピアノの鍵盤。静かな部屋に高音が響く。トンカチで床に穴を掘るのも、慎重にやらなくてはいけない。肺を悪くしている男は、咳き込むこともできない。男たちが事が進むのを確認し合うのは、目だ。目の動きが不安も期待をも表す。気が焦るなか、ぎらりと光る汗もいい。すべてが完璧な演出ってこういうことか。
実はこの台詞なしのシークエンスの始まりは、鼻歌がきっかけになっている。その鼻歌は、クラブでリハーサル中のショーガールのものだ。ストレッチする彼女の鼻歌に会わせて、バンドのピアノや木琴の音色が重なって行く。彼女は、バンドマンの中をフワフワ毎踊りながら、鼻歌を続け、そこに強盗に向かう男が、彼女に別れを合図して去って行く。ここから30分ずっと無台詞が続くが、その沈黙が破られる瞬間も、台詞でなく、また歌なのだ!この歌で始まり、歌で閉じるこの30分。感動。
これ、とっても有名なシークエンスらしいのだが、私はそれを知らなかったので、本当に度肝を抜かれるというのは、このことで「ううああ、えらいことがおこってるでええ」と時間経過とともに、もう胸が…というか肝が打ち砕かれていく気分だった。無知というのも、映画を純粋に楽しむに、必要なものだ、と自分の勉強不足を誉めてみたりして。

Rififi / 男の争い (55)   Dir. Jules Dassin

以前見た「掟」があまりにも素晴らしかったので、同じくダッシン監督の「Rififi/男の争い」をさっそくレンタルした。ああ、こりゃ凄い。頭っからおしりまで、すべてのカット割りを研究したいぐらい。しかも、それをなんでもないようなさり気なさで、こなしてしまうところの渋さ!

台詞なしで30分も続く、宝石強盗の緊張感にはまいった。大きい音で警報機を作動させてしまわないよう、強盗する4人の男たちは、ゆっくり静かに動く。もちろん、ちょっとした音に敏感になる。不意に触れてしまったピアノの鍵盤。静かな部屋に高音が響く。トンカチで床に穴を掘るのも、慎重にやらなくてはいけない。肺を悪くしている男は、咳き込むこともできない。男たちが事が進むのを確認し合うのは、目だ。目の動きが不安も期待をも表す。気が焦るなか、ぎらりと光る汗もいい。すべてが完璧な演出ってこういうことか。

実はこの台詞なしのシークエンスの始まりは、鼻歌がきっかけになっている。その鼻歌は、クラブでリハーサル中のショーガールのものだ。ストレッチする彼女の鼻歌に会わせて、バンドのピアノや木琴の音色が重なって行く。彼女は、バンドマンの中をフワフワ毎踊りながら、鼻歌を続け、そこに強盗に向かう男が、彼女に別れを合図して去って行く。ここから30分ずっと無台詞が続くが、その沈黙が破られる瞬間も、台詞でなく、また歌なのだ!この歌で始まり、歌で閉じるこの30分。感動。

これ、とっても有名なシークエンスらしいのだが、私はそれを知らなかったので、本当に度肝を抜かれるというのは、このことで「ううああ、えらいことがおこってるでええ」と時間経過とともに、もう胸が…というか肝が打ち砕かれていく気分だった。無知というのも、映画を純粋に楽しむに、必要なものだ、と自分の勉強不足を誉めてみたりして。

The Prowler (1951)  Dir. Joseph Losey
リストアされたものをフィルム・フォーラムにて。ショービズあがりのちょっと頭の弱い寂しがりやの人妻イヴリンと、彼女をものにするために画策するダメ警官、ウェブの「恋」のようでいて、倒錯的な逃避の物語。イヴリンの旦那が深夜のラジオDJで、彼女がウェブと浮気をしている間に、その旦那の声がラジオから流れている、なんていう三角関係の構造もいい。旦那がかけるラジオからの曲にあわせ、二人が初めて心を通わせ、暗闇で踊りだすという、ちょっと変態じみたシーンの色っぽさにぞくぞくする。いっそ、そのままこのダメ警官に惚れてしまったっていいではないか、と思うのだが、まあ実際、このイヴリンは、観客のようにどんなにウェブが頑張って、あんたを手に入れようとしてるか、知らないんだものね…。
あ、そうそう。助監督にアルドリッチの名が!

The Prowler (1951)  Dir. Joseph Losey

リストアされたものをフィルム・フォーラムにて。ショービズあがりのちょっと頭の弱い寂しがりやの人妻イヴリンと、彼女をものにするために画策するダメ警官、ウェブの「恋」のようでいて、倒錯的な逃避の物語。イヴリンの旦那が深夜のラジオDJで、彼女がウェブと浮気をしている間に、その旦那の声がラジオから流れている、なんていう三角関係の構造もいい。旦那がかけるラジオからの曲にあわせ、二人が初めて心を通わせ、暗闇で踊りだすという、ちょっと変態じみたシーンの色っぽさにぞくぞくする。いっそ、そのままこのダメ警官に惚れてしまったっていいではないか、と思うのだが、まあ実際、このイヴリンは、観客のようにどんなにウェブが頑張って、あんたを手に入れようとしてるか、知らないんだものね…。

あ、そうそう。助監督にアルドリッチの名が!

Gloria Grahame in The Greatest Show on Earth (1952)

Gloria Grahame in The Greatest Show on Earth (1952)

ニューヨーク在住8年目。おもしろい映画ってなんなんだろう。いい映画ってどうやってつくるんだろう、と考えるためのブログ。