DRIVE (2011)   Dir. Nicolas Winding Refn 
街を歩いていて新作映画のポスターを見ると、あぁまたかあ、と思わずにいられないほど出ずっぱりの最近のライアン・ゴズリング。メジャーに出過ぎはアカンで、と思うけど考えてみたら「Notebook」が彼の出世作だったんだ…。この「ドライブ」は予告編だと、ちょっと新手のカーアクションかのように見えるが、予想は裏切られ裏切られ、気付いたら奇妙な場所に辿りついてしまった、というような映画。人気絶頂期にこの映画に出演したライアン・ゴズリング、やはり妙な役者、という印象。…でも、やはりイイ!
彼の演じる主人公は名前がなくただ“ドライバー”と呼ばれている。日本の漫画には、ブラックジャック、ゴルゴ13、ザ・シェフ、哭きの竜など、クールな達人たちが難関に立ち向かうジャンルがあるけれど、この映画もその系列か。“ドライバー”は、普段は車の整備士やカースタントの仕事をしながら、裏では、強盗が逃げるときの車の運転請負人としての顔を持っている。いつも着用しているジャケットの背には、スコルピオンの刺繍。それもどこか漫画っぽい。
オープニングが最高に渋い。夜の街のネオンがきらめく空撮。地上では、強盗が出てくるのを待つ“ドライバー”のゴズリング。強盗がやっと出てくるとほぼ同時にパトカーのサイレンの音が近づいてくる。強盗二人を乗せて、車は発車。ゆっくりと。(このゆっくりがええんや。)パトカーには追われ、上空ではヘリがライトでドライバーの道を照らしてくる。見てるほうは、うわ見つかった!どう逃げ切るん?!とはらはらだが、ドライバーは表情を崩さない。台詞はなく、音だけで攻める。カーラジオではバスケの中継、うなるエンジン音、サイレン、警察の無線、それにミニマルなテクノが緊張感をじりじり盛り上げる。で、シーンが終わって、いやあ、かっこええなあ!と思ったとたん、タイトルが出て、タイトルバックの音楽がかかった瞬間、場内に笑いが…。というのも、この映画のセンス、なんか変なのだ。行き場のないオシャレさというか、クールさを追求したら笑いが起こってしまった、というような感じが、あきらかに作者の狙いとしてあるようだ。ところが、その追求が端正なので、パロディとか安っぽい感じに見えない。不思議な見心地だ。
中盤以降どんどん展開が暴走して行き、ドライバーがちょっと唐突とも見える人情や、暴力的な振る舞いにでたりするが、どんな状況においても、ドライバーがスコルピオンのジャケットを着ていることで、この人はある種のヒーローで、この服がコスチュームなんだ、と思うとすべて納得できるような気がした。顔が長過ぎのロン・パールマン初め、脇を固めるオッサンちんぴらも素晴らしかった。
しかし、この独特の世界観、もう続かないだろうとは思うが、この監督気になる。

DRIVE (2011)   Dir. Nicolas Winding Refn

街を歩いていて新作映画のポスターを見ると、あぁまたかあ、と思わずにいられないほど出ずっぱりの最近のライアン・ゴズリング。メジャーに出過ぎはアカンで、と思うけど考えてみたら「Notebook」が彼の出世作だったんだ…。この「ドライブ」は予告編だと、ちょっと新手のカーアクションかのように見えるが、予想は裏切られ裏切られ、気付いたら奇妙な場所に辿りついてしまった、というような映画。人気絶頂期にこの映画に出演したライアン・ゴズリング、やはり妙な役者、という印象。…でも、やはりイイ!

彼の演じる主人公は名前がなくただ“ドライバー”と呼ばれている。日本の漫画には、ブラックジャック、ゴルゴ13、ザ・シェフ、哭きの竜など、クールな達人たちが難関に立ち向かうジャンルがあるけれど、この映画もその系列か。“ドライバー”は、普段は車の整備士やカースタントの仕事をしながら、裏では、強盗が逃げるときの車の運転請負人としての顔を持っている。いつも着用しているジャケットの背には、スコルピオンの刺繍。それもどこか漫画っぽい。

オープニングが最高に渋い。夜の街のネオンがきらめく空撮。地上では、強盗が出てくるのを待つ“ドライバー”のゴズリング。強盗がやっと出てくるとほぼ同時にパトカーのサイレンの音が近づいてくる。強盗二人を乗せて、車は発車。ゆっくりと。(このゆっくりがええんや。)パトカーには追われ、上空ではヘリがライトでドライバーの道を照らしてくる。見てるほうは、うわ見つかった!どう逃げ切るん?!とはらはらだが、ドライバーは表情を崩さない。台詞はなく、音だけで攻める。カーラジオではバスケの中継、うなるエンジン音、サイレン、警察の無線、それにミニマルなテクノが緊張感をじりじり盛り上げる。で、シーンが終わって、いやあ、かっこええなあ!と思ったとたん、タイトルが出て、タイトルバックの音楽がかかった瞬間、場内に笑いが…。というのも、この映画のセンス、なんか変なのだ。行き場のないオシャレさというか、クールさを追求したら笑いが起こってしまった、というような感じが、あきらかに作者の狙いとしてあるようだ。ところが、その追求が端正なので、パロディとか安っぽい感じに見えない。不思議な見心地だ。

中盤以降どんどん展開が暴走して行き、ドライバーがちょっと唐突とも見える人情や、暴力的な振る舞いにでたりするが、どんな状況においても、ドライバーがスコルピオンのジャケットを着ていることで、この人はある種のヒーローで、この服がコスチュームなんだ、と思うとすべて納得できるような気がした。顔が長過ぎのロン・パールマン初め、脇を固めるオッサンちんぴらも素晴らしかった。

しかし、この独特の世界観、もう続かないだろうとは思うが、この監督気になる。



Midnight in Paris (2011)  Dir. Woody Allen

まさかウディ・アレンの映画に胸キュンしてしまうとは!!

大爆笑の連続のあと、ラストにむけて、ちょっと泣きそうな瞬間もあり…。 素直にすごく良かった。少し前に見た「それでも恋するバルセロナ」があまりにもどうでもいい感じだったので、この「ミッドナイト・イン・パリ」も見に行くのをためらったが、ご近所の映画館BAMでは「Before 3pm」まで8ドルのマチネー料金。ならばエエか、と、劇場に着いたものの結局、正規の13ドル払わされた。上映時間が3pmだったのだが「Before 3」に「3」は含まれないということを今更ながら知る。もしかしたら中学英語の常識?

今作、オーウェン・ウィルソンが主演か、ふうん。と意外に思ったけど、見ていたらやはり、ちゃんとウディそっくりに仕上がっていて、ある意味お見事だった。とはいえ私は「ズーランダー」「You, Me and Dupree」の2本ぐらいしかウィルソン氏を知らず、今までは、周囲はまっとうで、彼が異端者で壊し屋、というコメディキャラクターのイメージを持っていた。とこ ろがこの映画では、彼がいつも周囲に対して違和感を抱き、うろたえる役目を与えられている。彼の口をすぼめて「状況をうまく飲み込めない」顔をするのが、たまらなくおかしい。

物語はとんとん拍子にウイルソン演じる作家のギルが、訪れたパリで憧れの1920年代のアートの社交界に迷い込んでいく様子を見せる。ウディ・アレンのコメディで時折感じるのは、スクリューボールを意識しすぎて、とんとん拍子感を無理にだしたが故に、ひっかかりないまま終わってしまうこと。内容は面白い漫才なのに、笑い待ちのできないツッコミのせいで、笑うタイミングを逃してる感じか。でも「ミッドナイト・イン・パリ」では、優雅なパリの雰囲気を残しつつ、まどろっこしい説明は省き、どんどん事が進んでいくのが気持ちよかった。

すべての話を「戦い」に例えなくては気が済まない男ヘミングウェイや、とりあえず「俺、ダリやで!」と叫ぶシュルレアリストのダリ、 ピカソやモディリアーニのミューズ的存在の女やらと、次々と現れ、いかにもその人が言いそうな言葉が氾濫してくる。ステレオタイプな幻想にどっぷりはまって笑ったあと、ラストにかけて、その幻想が崩れて行くところも、決して大げさではないが、胸が少し痛くなる感じで、しみじみよかった。劇場が満員でなければ、泣いてしまったかもしなれない。

The Tree of Life(2011) Dir. Terrence Malick

つい先月カンヌでパルムドールを獲ったテレンス・マリック監督の「The Tree of Life」。そんな超満員でもなくほどよい感じの込み具合で、Landmark Sunshine Cinemaで鑑賞。

手持ち画面に誰よりもはやく映像酔いしてしまう私にとって、ブラピファミリーのゆらゆらしたイメージショットの連続は辛い…。カット終わりに空に伸びる木にむかって、いちいちパンアップしたりと、マリック氏は、こだわりを見せていたが、私は残念ながら気持ち悪くて直視できなかった。でも途中でカメラの揺れのタイミングをつかんで来たので、ヤバそうな瞬間は目を閉じる、という方法で最後までなんとか乗り切れた。まあ、タイミングつまめるぐらい規則正しい映画だったんだろう。それに途中ちょいちょい(でも長めに)挿入される(うちの職場のMacのスクリーンセーバーみたいな)宇宙や海の映像が、疲れ目を癒してくれたのかもしれない…。

への字口のブラット・ピットは、浜ちゃんに見えて仕方がなかった。ちなみに、最近の浜ちゃんはうちの父にも少し似てきている。そんなつながりで、もし、うちの父がこの映画をDVDで見たとしたら「これはいつ話が始まるんかな」といって、三分の一は、早送りしてしまうだろう。実際に父は、それで「2001年宇宙の旅」を最後まで早送りしていたのを思い出した。

ともかく、こういう映画を見ると、アジア人は、自然や宇宙といった神秘的なものを、生活に密着させて表現できるけど、西洋人は、どこか不可解な異質なものとして捉えているのだな、と感じる。去年のカンヌのパルムドール「ブンミおじさんの森」を見た時は、なんか古いのか新しいのか、ギャグなのか本気なのか…、と不思議な気持ちにさせられたが、この「The Tree of Life」を見た後では、あっちのほうがよっぽど私には理解できた、と親しみが湧いてきた。

ニューヨーク在住8年目。おもしろい映画ってなんなんだろう。いい映画ってどうやってつくるんだろう、と考えるためのブログ。