Biutiful (2010)  Dir. Alejandro González Iñárritu

生きていくのやんなるなあ、と気が滅入りながらも、こうまでして、人は生きていきたいんだなあ、という気持ちにもなる映画。死の瀬戸際の主人公のハビエル・バルデムは、評判通り熱演してるけど、私としては、躁鬱病であばずれの彼の元妻、Maricel Alvarez にやられた。彼女の鼻のぐーんと飛び出たアンバランスな顔と表情、なんかええのよな…。

いつまでたっても名前を覚えられない アレハンドロ・ゴンサレス・イニャリトゥというこの監督、今まで、ひとつの筋で通した話法のできない、オムニバス的な映画を撮る人かと思っていたが、この「ビューティフル」では、主人公バルデムの病気発覚から死まで、という決められた期限のなかで家族の関係を描いていてかなり集中力の高い内容だった。中国系やアフリカ系の違法移民たちのエピソードもからんでくるが、ハビエルが闇商売の中で関わってくる人物ということもあり「一方、むこうの世界では」的な並列に終わらないところがいい。

ただ、詰め込み型の監督だけに、気にかかるとこも多い。このサイキック的な要素は、必要なのか?とか、ところどころ1カットに入れ込んみすぎじゃない?とか、なんだか映像からイニャリトゥ氏の荒い鼻息が聞こえてきそうな…。あと、これは好みの問題といわれれば、それまでだが、どんなにうまくても手持ち風のカメラワークって苦手だ。必死に動きを追って自然に揺れちゃったんならいいんだけど、演出としての場合「いい感じの手ぶれ感」を出してるカメラマンの人がどうも頭に浮かんじゃう。自分が仕事で撮影のとき、カメラマンの必死の形相をよく見ているから余計そう思うんだろうけど…。そういうところもあって、気合いのいれすぎで、ちょっとこっちが醒めてしまう瞬間があったのが残念。