Design for Living (1933)    Dir. Ernst Lubitsch
生活の設計 エルンスト・ルビッチ監督
三角関係といえば、この映画がまず浮かぶ。DVDにて約10年ぶりに見直した。
ゲーリー・クーパーとフレドリック・マーチが並んだ姿は、永遠に眺めていても飽きないほど魅力的で、ミリアム・ホプキンスがどちらかを選べないのもしょうがない。選べないので”No Sex”の紳士協定を結び、共同生活を始めるという。33年製作なので、翌年から発足した検閲制度にはぎりぎりひっかからなかった。ふいー、危ない危ない。
すぐベッドに寝転んでしまう無防備さで、男をその気にさせてしまうホプキンス演じるジルダだけど、二股どころか3股かけいても、彼女の発する言葉は妙に愛嬌を感じさせる。「あなたを見た瞬間、脳に火がついて、その熱が体内をおりていってつま先まで達するの!!そして耳鳴りが聞こえるのよ」と言ったかと思えば、別の男を見た瞬間は、その逆で「つま先がすごく熱くなって、その熱が体をのぼっていって、最後に脳に火がつくの!!そして耳鳴りが聞こえるわ」と情熱的に語る、そんな独創的な思想をもったミューズである。
それにしても一つのショットに女一人、男二人がいるだけで、なぜこんなに胸が高鳴るだろう。さらに気づいたのは、4:3のスクリーンサイズは、まさに真ん中に女、両脇に男の図にうってつけだということ。タイトな絵なのに、どことなく危うい均衡があってワイドスクリーンでは出せない緊張感がある。ああ、もっと三角関係の映画が見たくなってきた…。しばらく続けてみよう。

Design for Living (1933)    Dir. Ernst Lubitsch

生活の設計 エルンスト・ルビッチ監督

三角関係といえば、この映画がまず浮かぶ。DVDにて約10年ぶりに見直した。

ゲーリー・クーパーとフレドリック・マーチが並んだ姿は、永遠に眺めていても飽きないほど魅力的で、ミリアム・ホプキンスがどちらかを選べないのもしょうがない。選べないので”No Sex”の紳士協定を結び、共同生活を始めるという。33年製作なので、翌年から発足した検閲制度にはぎりぎりひっかからなかった。ふいー、危ない危ない。

すぐベッドに寝転んでしまう無防備さで、男をその気にさせてしまうホプキンス演じるジルダだけど、二股どころか3股かけいても、彼女の発する言葉は妙に愛嬌を感じさせる。「あなたを見た瞬間、脳に火がついて、その熱が体内をおりていってつま先まで達するの!!そして耳鳴りが聞こえるのよ」と言ったかと思えば、別の男を見た瞬間は、その逆で「つま先がすごく熱くなって、その熱が体をのぼっていって、最後に脳に火がつくの!!そして耳鳴りが聞こえるわ」と情熱的に語る、そんな独創的な思想をもったミューズである。

それにしても一つのショットに女一人、男二人がいるだけで、なぜこんなに胸が高鳴るだろう。さらに気づいたのは、4:3のスクリーンサイズは、まさに真ん中に女、両脇に男の図にうってつけだということ。タイトな絵なのに、どことなく危うい均衡があってワイドスクリーンでは出せない緊張感がある。ああ、もっと三角関係の映画が見たくなってきた…。しばらく続けてみよう。

To be or Not to be (1942)   Dir. Ernst Lubitsch
生きるべきか死ぬべきか エルンスト・ルビッチ監督
今年一本目は、大晦日に引き続きルビッチ。Netflixにてオンラインレンタルした。画像は悪いけど便利なり。三角関係の映画を少しお勉強したくなり、まずはこの大先生の映画からでしょう、ということで。「生きるべきか死ぬべきか」は、ずいぶん前に見ていたが、すっかり内容を忘れていた、というか、ホークスの「特急二十世紀」とかなりとっちがえて覚えてしまっていた。情けない…。でも町で人気の芝居一座が、ナチとてんやわんを繰り広げる筋を考えると、ホークスが演出したとしたら、この劇団員たちはさぞかし賑やかで個性豊かだったろうな、と思わずにはいられなかった。
それはさておき、ルビッチの映画は本当に色気がある。劇団の花形女優のキャロル・ロンバードが、団長の夫と若い中尉とのあいだを揺れ動き、しまいには、自国ポーランドとナチのあいだをスパイとして往復するという、なんとも両天秤な女を、すごくチャーミングに演じている。そして、白く薄い絹のドレスの下で動くヒップのラインがとっても艶かしい!!プルンプルン、でなかく、トュルントュルンってな感じの滑らかな動き。
ロンバートの夫、ジャック・ベニーが家に帰ると、ロンバードの浮気相手の中尉がおり、ベニーのパジャマとスリッパまで着用している。憤慨したベニーがロンバードに問いつめると、彼女は、中尉がナチスパイを暗殺するための任務でここにいる、と説明するも、彼の怒りはおさまらない。中尉に「愛国心はないのか?!」と聞かれると「私は自分の国は大好きだが、自分のスリッパも大好きなんだよ!」と叫び、恋敵の中尉に対抗して、最終的に「俺がスパイを殺してやる!」といい切ってしまう。つまり妻の浮気も、お国の一大事も、同じぐらいの重要さで描かれているのが、この映画のおかしさだ。
そしてロンバードと夫は、劇団員たちとともに、自分たちの演技力でナチを騙す作戦を考えつくのだが、彼らには「愛国心」の部分を感じる事は少なく、しかし何故、そんな危険な任務を最後までやりきるかというと、彼らの中にある「いい演技をしたい」という役者魂なのである。結局「愛国心」より「自分のスリッパ」なんだ。そういった正直さが伝わり、風刺喜劇だけに収まらず、物語に愛すべき人間味を与えていたように思う。ところで、三角関係の映画というには、あの中尉はやや印象が薄すぎたかな。

To be or Not to be (1942)  Dir. Ernst Lubitsch

生きるべきか死ぬべきか エルンスト・ルビッチ監督

今年一本目は、大晦日に引き続きルビッチ。Netflixにてオンラインレンタルした。画像は悪いけど便利なり。三角関係の映画を少しお勉強したくなり、まずはこの大先生の映画からでしょう、ということで。「生きるべきか死ぬべきか」は、ずいぶん前に見ていたが、すっかり内容を忘れていた、というか、ホークスの「特急二十世紀」とかなりとっちがえて覚えてしまっていた。情けない…。でも町で人気の芝居一座が、ナチとてんやわんを繰り広げる筋を考えると、ホークスが演出したとしたら、この劇団員たちはさぞかし賑やかで個性豊かだったろうな、と思わずにはいられなかった。

それはさておき、ルビッチの映画は本当に色気がある。劇団の花形女優のキャロル・ロンバードが、団長の夫と若い中尉とのあいだを揺れ動き、しまいには、自国ポーランドとナチのあいだをスパイとして往復するという、なんとも両天秤な女を、すごくチャーミングに演じている。そして、白く薄い絹のドレスの下で動くヒップのラインがとっても艶かしい!!プルンプルン、でなかく、トュルントュルンってな感じの滑らかな動き。

ロンバートの夫、ジャック・ベニーが家に帰ると、ロンバードの浮気相手の中尉がおり、ベニーのパジャマとスリッパまで着用している。憤慨したベニーがロンバードに問いつめると、彼女は、中尉がナチスパイを暗殺するための任務でここにいる、と説明するも、彼の怒りはおさまらない。中尉に「愛国心はないのか?!」と聞かれると「私は自分の国は大好きだが、自分のスリッパも大好きなんだよ!」と叫び、恋敵の中尉に対抗して、最終的に「俺がスパイを殺してやる!」といい切ってしまう。つまり妻の浮気も、お国の一大事も、同じぐらいの重要さで描かれているのが、この映画のおかしさだ。

そしてロンバードと夫は、劇団員たちとともに、自分たちの演技力でナチを騙す作戦を考えつくのだが、彼らには「愛国心」の部分を感じる事は少なく、しかし何故、そんな危険な任務を最後までやりきるかというと、彼らの中にある「いい演技をしたい」という役者魂なのである。結局「愛国心」より「自分のスリッパ」なんだ。そういった正直さが伝わり、風刺喜劇だけに収まらず、物語に愛すべき人間味を与えていたように思う。ところで、三角関係の映画というには、あの中尉はやや印象が薄すぎたかな。

Cluny Brown (1946)   Dir. Ernst Lubitsch 
小間使い エルンスト・ルビッチ監督 
ルビッチの映画を見たいなあ、とふと思っていたら、ちょうどフィルム・フォーラムで「小間使い」がニュープリントで上映されていた!数日前の大雪の名残で、ぬかるんだ雪解け道にもめげず、水たまりをジャンプしながら映画館へむかった。
可憐でちょっとオバカな主役のジェニファー・ジョーンズに、胸きゅんしてしまう男性はさぞ多かろう。メイドの衣装まで着てくれるし。親を知らず、水道管修理人のおじさんに育てられた彼女は、つまった水道パイプを見ると、トンカチで叩いて、直さずにいられないという、すっとんきょうな「性癖」を持っている。叩かれたパイプは、それが正しい修理法でもないのに、どっくどっくと音をたてて、すっきり流れて行く。この彼女の「性癖」は、もちろん性的な意味合いにつながっており、ジョーンズがくったくなく「アタシ、パイプをバンバン打つのが好きなの」と言ったら、満員の映画館の場内が大爆笑に包まれていた。日本の映画館では、くすっていう程度のウケかと思うが、アメリカ人は下ネタ大好きらしい。だからルビッチ映画はとても人気が高いようだ。なんだが、洗練されたタッチで有名なルビッチを、まるで下ネタ王みたいに扱ってしまったけど、このバンバン娘をいかにも金髪セクシー系でなく、子鹿ちゃんのような細身のジョーンズに演じさせ、胸の谷間なんて見せず、彼女の愛嬌ある表情と軽やかな体の動きでエロさを匂わすのは、洗練の技あってこそだ。
ジョーンズに恋するチェコから亡命してきた作家のシャルル・ボワイエも怪しくノリが軽くて面白いのだが、物語中盤から大活躍のジョーンズが恋する中流階級の薬屋ウィルソン氏がかなりのキャラクターだ。眼鏡の顔長でおちょぼ口。鼻もちならない声で自慢ばかりするわりに間抜けで、絶対こいつとは、ひっつかないだろうな、とすぐにわかるから、恋の行方にハラハラすることはなく、心置きなく笑いに専念できる。ジョーンズを家に招いたウィルソン氏が、最初に彼女に説明するのが、壁に掛けられた絵画で、それが不毛の地にぽつねんといる一匹の羊の絵というのも、かなりシュールでおかしく、そこからは、かみあわない二人のやりとりは爆笑の連続だった。私は、ルビッチには、畳み掛けるような笑いはないと記憶していたが、この映画は、どんなシーンにも常にひねりのあるギャグが隠されていたし、まぎれも無いスクリューボールコメディ!年末に、いい笑いをくれる映画を見ることができて嬉しい。
あと、「悪魔の往く町」で金に目のない心理カウンセラーを演じていて格好のよかった、ヘレン・ウォーカーが出演していた。やっぱりあのツンデレ感ええわあ!

Cluny Brown (1946)   Dir. Ernst Lubitsch 

小間使い エルンスト・ルビッチ監督

ルビッチの映画を見たいなあ、とふと思っていたら、ちょうどフィルム・フォーラムで「小間使い」がニュープリントで上映されていた!数日前の大雪の名残で、ぬかるんだ雪解け道にもめげず、水たまりをジャンプしながら映画館へむかった。

可憐でちょっとオバカな主役のジェニファー・ジョーンズに、胸きゅんしてしまう男性はさぞ多かろう。メイドの衣装まで着てくれるし。親を知らず、水道管修理人のおじさんに育てられた彼女は、つまった水道パイプを見ると、トンカチで叩いて、直さずにいられないという、すっとんきょうな「性癖」を持っている。叩かれたパイプは、それが正しい修理法でもないのに、どっくどっくと音をたてて、すっきり流れて行く。この彼女の「性癖」は、もちろん性的な意味合いにつながっており、ジョーンズがくったくなく「アタシ、パイプをバンバン打つのが好きなの」と言ったら、満員の映画館の場内が大爆笑に包まれていた。日本の映画館では、くすっていう程度のウケかと思うが、アメリカ人は下ネタ大好きらしい。だからルビッチ映画はとても人気が高いようだ。なんだが、洗練されたタッチで有名なルビッチを、まるで下ネタ王みたいに扱ってしまったけど、このバンバン娘をいかにも金髪セクシー系でなく、子鹿ちゃんのような細身のジョーンズに演じさせ、胸の谷間なんて見せず、彼女の愛嬌ある表情と軽やかな体の動きでエロさを匂わすのは、洗練の技あってこそだ。

ジョーンズに恋するチェコから亡命してきた作家のシャルル・ボワイエも怪しくノリが軽くて面白いのだが、物語中盤から大活躍のジョーンズが恋する中流階級の薬屋ウィルソン氏がかなりのキャラクターだ。眼鏡の顔長でおちょぼ口。鼻もちならない声で自慢ばかりするわりに間抜けで、絶対こいつとは、ひっつかないだろうな、とすぐにわかるから、恋の行方にハラハラすることはなく、心置きなく笑いに専念できる。ジョーンズを家に招いたウィルソン氏が、最初に彼女に説明するのが、壁に掛けられた絵画で、それが不毛の地にぽつねんといる一匹の羊の絵というのも、かなりシュールでおかしく、そこからは、かみあわない二人のやりとりは爆笑の連続だった。私は、ルビッチには、畳み掛けるような笑いはないと記憶していたが、この映画は、どんなシーンにも常にひねりのあるギャグが隠されていたし、まぎれも無いスクリューボールコメディ!年末に、いい笑いをくれる映画を見ることができて嬉しい。

あと、「悪魔の往く町」で金に目のない心理カウンセラーを演じていて格好のよかった、ヘレン・ウォーカーが出演していた。やっぱりあのツンデレ感ええわあ!

Heaven Can Wait  (1943)    Dir. Ernst Lubitsch
I don’t think Don Ameche looks like a real playboy who makes Gene Tierney gets jealous. I don’t like the way he talks, cocking his head to the side. (His name also sounds like very comedic in Japanese.) I generally love Gene Tiernry and Lubitsch, so I just blame Ameche this time.
どうも主人公のDon Amecheがうさん臭くて、どうしてもジーン・ティアニーを嫉妬させるほどのプレイボーイに見えない。いつも首が40度ぐらい傾いているのも気になる。彼の名、ドン・アメチ?名前も変だ。ドン小西を思い出しちゃった。
ティアニーは、もともとアメチのいとこの婚約者。パーティーを抜け出して、ティアニーが書斎に一人でいるところを、アメチいきなりの愛の告白。アメチをはねつけ、書斎を出たティアニー、パーティーに戻ろうとしたが、くしゃみがとまらない。パーティーは静粛な音楽会の真っ最中で、しーっ!と追い返される。再び、書斎に戻った彼女は、また強引にアメチに迫られ、二人はそのまま駆けおちしてしまう。
その1時間後、(彼らの人生でいうと25年後)、同じ書斎で昔を思い出し、年老いたティアニーがアメチに「あのときくしゃみをしなかったら、あなたとこうして幸せに暮らせなかったわ」というシーンはとても感動的だった。ただ、アメチじゃなかったらもっと感動したかもしれない、そう思うと惜しい。

Heaven Can Wait  (1943)    Dir. Ernst Lubitsch

I don’t think Don Ameche looks like a real playboy who makes Gene Tierney gets jealous. I don’t like the way he talks, cocking his head to the side. (His name also sounds like very comedic in Japanese.) I generally love Gene Tiernry and Lubitsch, so I just blame Ameche this time.

どうも主人公のDon Amecheがうさん臭くて、どうしてもジーン・ティアニーを嫉妬させるほどのプレイボーイに見えない。いつも首が40度ぐらい傾いているのも気になる。彼の名、ドン・アメチ?名前も変だ。ドン小西を思い出しちゃった。

ティアニーは、もともとアメチのいとこの婚約者。パーティーを抜け出して、ティアニーが書斎に一人でいるところを、アメチいきなりの愛の告白。アメチをはねつけ、書斎を出たティアニー、パーティーに戻ろうとしたが、くしゃみがとまらない。パーティーは静粛な音楽会の真っ最中で、しーっ!と追い返される。再び、書斎に戻った彼女は、また強引にアメチに迫られ、二人はそのまま駆けおちしてしまう。

その1時間後、(彼らの人生でいうと25年後)、同じ書斎で昔を思い出し、年老いたティアニーがアメチに「あのときくしゃみをしなかったら、あなたとこうして幸せに暮らせなかったわ」というシーンはとても感動的だった。ただ、アメチじゃなかったらもっと感動したかもしれない、そう思うと惜しい。

ニューヨーク在住8年目。おもしろい映画ってなんなんだろう。いい映画ってどうやってつくるんだろう、と考えるためのブログ。